Anthem(アンセム)とは – 音楽用語

公開日:  最終更新日:2019/05/06

意味

元々の意味は聖公会の教会音楽の一種、聖歌、交唱賛美歌、国歌のこと。

特定の集団のシンボルとしての賛歌、祝いの歌、祝曲。

転じて、ある音楽ジャンルや音楽ムーブメント、サブカルチャー等のシンボルとみなされる代表曲のこと。さらに意味を弱めて定番曲、名曲のこと。

過去の音源を聴き込む余裕がないほど旧譜の蓄積が進んでしまった2000年代以降は、目立った曲をアンセムとして管理することで音楽シーンを把握することが多い。例として、2018年アンセム、など。

アンセムという音楽用語の定着は、アルバム単位の「名盤」ではなく曲単位の「名曲」を基準としてダウンロード購入で音楽収集する時代を反映している。

それと同時にアルバム内の隠れた名曲を探す=ディグするという逆の音楽収集方法にも価値が見出されている。

 

類似の用語: Banger(バンガー)、Club Banger(クラブ・バンガー)、Disco Banger(ディスコ・バンガー)

用例

代表曲

The Greatest Indie Anthem Ever revealed – NME

 

「ローリングストーン誌が選ぶ500曲」などに入るような有名曲はたいていアンセムになってしまいますが、とりわけ放送メディアでのオンエアやDJプレイなどでアンセムとして意識してプレイされる曲を挙げます。

Bob Dylan – Blowin’ In The Wind [1963]

直訳すれば「フーテン」。Beatnik(ビートニク)の影響を受け60年代後半から70年代前半にかけてアメリカから世界に広がったヒッピー・ムーブメントから、最も有名なヒッピー・アンセムです。音楽的にはかなり幅があり、フラワームーブメント期のビートルズなども該当します。Jefferson Airplane(ジェファーソン・エアプレイン)の「Somebody to love」などサイケデリック・ロックなども加えてウッドストックに集まってたようなのは大抵ヒッピーアンセムと大雑把に解釈できます。

The Beatles – All You Need Is Love [1967]

Jefferson Airplane – Somebody To Love (Live at Woodstock 1969)

The Who – My Generation [1965]

音楽とファッションの総合的なサブカルチャー、モッズブームのアンセム、Mod Anthemと言えばこの曲です。まずは映画「さらば青春の光」を観るところからスタートだ!

Queen – We Are The Champions [1977]

今やロック・クラシックに分類されてしまいますが、ロック・アンセムです。クイーンのもう一つのアンセム「We Will Rock You」も同様に扱われます。

Sex Pistols – Anarchy In The UK [1977]

言わずと知れたパンク・アンセムです。「God Save The Queen」でも構いませんがこちらの方がイントロだけで空気を変えてしまうアンセムらしい風格が。USパンクなら「Ramones – BLITZKRIEG BOP」あたりを挙げることでしょう。

Bee Gees – Stayin’ Alive [1977]
Cheryl Lynn – Got To Be Real [1978]

どちらも有名なディスコ・アンセムです。ただし映画『サタデーナイト・フィーバー』の主題歌であるビージーズの「スティン・アライブ」の方はダンスクラシック・アンセムかと言われるとそうはでない微妙なニュアンスの違いがあります(同じ理由でABBAやNolans等ポップス系はダンクラと呼びづらい空気があります)。残りは元ダンクラ番長の諸兄が100曲くらい挙げて解決してくれるはずです、Earth, Wind & Fireとか、Shalamarとか・・・止まらなくなりそう。

Gloria Gaynor – I Will Survive [1978]

元々は女性の強さを歌い上げたフェミニスト・アンセムです。同時にゲイディスコ・アンセム、もしくはゲイ・アンセムでもあります。ゲイ・アンセムとしては他にもヴィレッジ・ピープルの「YMCA」やABBAの「ダンシング・クイーン」などがあります。過剰にセンチメンタルもしくは過剰にキャッチーであるという共通の特徴を持っています。4つ打ち(Four On The Floor)のディスコビートを叩いているドラマーは前述の「Got To Be Real」と同じ、鼓聖 James Gadson(ジェームス・ギャドソン)。

Judy Garland – Over The Rainbow [1947] : ゲイ・アイコンであった女優ジュディ・ガーランドの代表曲「虹の彼方に」は元祖ゲイ・アンセムとして知られ、このタイトルを元にLGBTの象徴レインボーフラッグがデザインされています。

Donna Summer – I Feel Love (Patrick Cowley Remix) [1982]

ジョルジオ・モロダーが手掛けたドナ・サマーの「I Feel Love」を天才Patrick Cowley(パトリック・カウリー)が長尺でリミックスしたハイエナジー・アンセムです。テクノの誕生を予感させる(というか既にテクノな)楽曲ですが、カウリー自身は1982年にHIVで亡くなっています。こちらはミュンヘン・ディスコと呼ばれた頃の曲ですが、英国にトレンドが移ってからのPWL(ストック・エイトキン・ウォーターマン)関連曲を挙げても構いません。

New Order – Blue Monday [1983]

多くのパンクミュージシャンを輩出したNYの伝説のロックバー「CBGB」においてTalking Headsらの活躍により始まったニューウェイヴ・ムーブメントの中でも、特に英国で発展したシンセポップの代表曲として挙げられるニューウェイヴ・アンセムです。

Marshall Jefferson – Move Your Body [1986]

郵便局で働いていたマーシャル・ジェファーソンが生み出したシカゴハウス・アンセム。単純にハウスミュージック・アンセムと呼んでも構いません。ピアノ演奏が入っているために当初はハウスとみなされていなかったものの、ロン・ハーディ、フランキー・ナックルズの助力を得てシカゴハウスの大ヒットとなった曲です。

Rhythm Is Rhythm – Strings Of Life [1987]

シカゴハウスに衝撃を受けたDerrick May(デリック・メイ)がMayday名義で制作したデトロイトテクノ・アンセム。単純にテクノ・アンセムと呼んでも構いません。MDMA(通称エクスタシー)を食べた客が感動の涙を流しながら踊り狂ったいわくつきの曲です。「テクノ」の名称は、Juan Atkins(ホアン・アトキンス)が当時ベストセラーとなった未来予測学者アルビン・トフラーの名著「The Third Wave(第三の波)」の一節から採ったものです。(※ それ以前のKraftwerkやYMOはテクノ・ポップに分類される。坂本龍一がテクノの言葉を考案した方が先だがこちらはテクノ・ポップに関連付けられた。)

A Guy Called Gerald – Voodoo Ray [1988]

アシッドハウス・アンセムです。音楽史上初のアシッドハウス「Phuture – Acid Tracks [1985/1987]」も歴史的見地からはアンセムと言えますが曲のウケも加味されます。

Nirvana – Smells Like Teen Spirit [1991]

異論を挟む余地のないグランジロック・アンセム。クタクタの古着スタイルなどファッションにも影響が及ぶのでグランジ・アンセムとしてもOK。ヘヴィメタル/ハードロックへのアンチとして誕生、Fuzzを効かせたノイジーかつLo-Fi(ローファイ)なサウンドで、UKインディー/パンクの影響を受けてメロディからもブルース/カントリー色が排除され、Show Biz的ギターソロも放棄してエレキギターの役割を完全に変えてしまいました。革命的な変化であるが故にグランジ以前とグランジ以降で洋楽ロックファンの嗜好も大きく二分されます。

The Sugar Hill Gang – Rapper’s Delight [1979]

オールドスクール・ヒップホップのアンセムです。Grandmaster Flashの「The Message」を挙げる人も。エレクトロブギー派ならArthur BakerとAfrika Bambaataaの「Planet Rock」を挙げることでしょう。

Naughty By Nature ‎– Hip Hop Hooray [1992]

ヒップホップ・アンセムは数多くあり、この話題は必ずモメて殺人事件が起きますが、まだ死にたくないのでひとまず「ヒップホップ万歳」のタイトルどおり応援歌/讃美歌の位置付けであるこの曲を挙げて逃げます…。PVは Queen Latifah、Eazy-E、Monie Love、Da Youngsta’s、Kris Kross、2 Pac、Run–D.M.C. 等々、スター達が集った豪華客演です! あなたは何人見つけられるかな?

The Prodigy – Charly [1991]

ちょっと下品なくらいのハードコア・テクノやトランス・ミュージック等でドラッグを使用して盛り上がる英国発の野外クラブイベント Rave(レイブ)のアンセム、レイブ・アンセムです。音楽的にはかなり幅があり、複数のジャンルから多くのアンセムが挙がります。

Underworld – Born Slippy .NUXX [1995]

特定ジャンルに押し込めて語るのは難しいのですが、あえて言うなら明らかに90年代のクラブ・アンセムです。(この曲はレイブ・アンセムやイビザ・アンセムでもあります。)

Oasis – Don’t Look Back In Anger [1996]

イギリスの国歌とまで言われたインディーロック・アンセム。マンチェスターで発生したアリアナ・グランデのコンサート会場における自爆テロ事件でも追悼アンセムとして歌われました。

インディーロックとは元々、Independent Label(インディペンデント・レーベル)からリリースされるマイナーなロックを指していましたが、現在ではメジャーレーベルからデビューするロックバンドも含まれ「インディーロック・サウンド」のテイストを持つ楽曲すべてを指しています。

Roy Davis Jr ft Peven Everett – Gabriel [1996]

リリース当時にはまだ存在していなかったジャンル、UKガラージのアンセムです。元々ハウスレコードとして制作され後にUKGの基盤となった曲として、英国BBC Radioが選ぶ「ダンスミュージックを形作った過去30年史上の重要曲」にも選出されています。

Stardust – Music Sounds Better With You [1997]

画像はDaft Punk(ダフト・パンク)のThomas Bangalter(トーマ・バンガルテル)が1997年に手掛けたフレンチ・ハウス。当時はNu Disco(ニューディスコ)という言葉すら存在していませんでしたが、現在はニューディスコ・アンセムとされる曲です。もちろんフレンチハウス・アンセムと呼んでも構いません。

Stardust – Music Sounds Better With You [1997]仏

Moloko – Sing It Back [1998]

「時計じかけのオレンジ」に登場する麻薬入りミルクから命名したエレクトロポップ/ダンスポップ・デュオ、モロコによるイビザ・アンセム。クラバーの聖地、スペインのイビザ島のクラブカルチャーを代表する曲です。

EDMアンセム

有名曲の数が多くキリがないため、初期のEDMアンセムを中心にいくつか挙げます。 EDMアーティストはヒット曲の次作あたりに人気が高まるため、YouTubeの視聴回数だけで判断するとアンセムを見誤ってしまう点に注意が必要です。(リアルタイムでなく少し間をおいてから評価が定まる事が多いです。流行後もヘビーにプレイ/オンエアされるような曲が本物のアンセム)

Avicii – Levels [2011]

サンプリング:Etta James – Something’s Got A Hold On Me [1962]

LMFAO – Party Rock Anthem ft. Lauren Bennett, GoonRock [2011]

David Guetta feat. Sia ‎– Titanium [2011]

Nicky Romero – Toulouse [2011]

Porter Robinson – Language [2012]

Nicki Minaj – Starships [2012]

Baauer – Harlem Shake [2012]

Swedish House Mafia – Don’t You Worry Child ft. John Martin [2012]

Showtek ft. We Are Loud & Sonny Wilson – Booyah [2013]

Martin Garrix – Animals [2013]

DVBBS & Borgeous – TSUNAMI [2013]

DJ Snake, Lil Jon – Turn Down for What [2013]

Disclosure – You & Me feat. Eliza Doolittle (Flume Remix) [2013]

Zedd – Clarity ft. Foxes [2013]

Armin van Buuren feat. Trevor Guthrie – This Is What It Feels Like [2013]

Dimitri Vegas, Martin Garrix, Like Mike – Tremor [2014]

Calvin Harris – Summer [2014]

Tiësto – Wasted ft. Matthew Koma [2014]

Alesso – Heroes (We Could Be) ft. Tove Lo [2014]

Kygo – Firestone ft. Conrad Sewell [2015]

Alan Walker – Faded [2015]

Martin Garrix & Bebe Rexha – In The Name Of Love [2016]

Martin Garrix & Dua Lipa – Scared To Be Lonely [2017]

Marshmello ft. Bastille – Happier [2018]

 

 

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