Anthem(アンセム)とは Part 1 – 音楽用語

公開日:  最終更新日:2020/05/31

 

意味

元々の意味は聖公会の教会音楽の一種、聖歌、交唱賛美歌、国歌のこと。

特定の集団のシンボルとしての賛歌、祝いの歌、祝曲。

転じて、ある音楽ジャンルや音楽ムーブメント、サブカルチャー等のシンボルとみなされる代表曲のこと。さらに意味を弱めて定番曲、名曲のこと。

過去の音源を聴き込む余裕がないほど旧譜の蓄積が進んでしまった2000年代以降は、目立った曲をアンセムとして管理することで音楽シーンを把握することが多い。例として、2018年アンセム、など。

アンセムという音楽用語の定着は、アルバム単位の「名盤」ではなく曲単位の「名曲」を基準としてダウンロード購入で音楽収集する時代を反映している。

それと同時にアルバム内の隠れた名曲を探す=ディグするという逆の音楽収集方法にも価値が見出されている。

 

類似の用語: Banger(バンガー)、Club Banger(クラブ・バンガー)、Disco Banger(ディスコ・バンガー)、Killer Tune(キラー・チューン)、Killer Track(キラー・トラック)

用例

代表曲

The Greatest Indie Anthem Ever revealed – NME

 

「ローリングストーン誌が選ぶ500曲」などに入るような有名曲はたいていアンセムになってしまいますが、とりわけ放送メディアでのオンエアやDJプレイなどでアンセムとして意識してプレイされる曲を挙げます。

Pitchfork’s 10 Best Songs of the 1970s

 

Bob Dylan – Blowin’ In The Wind [1963]米

直訳すれば「フーテン」。Beatnik(ビートニク)の影響を受け60年代後半から70年代前半にかけてアメリカから世界に広がったヒッピー・ムーブメントから、最も有名なヒッピー・アンセムです。音楽的にはかなり幅があり、フラワームーブメント期のビートルズなども該当します。Jefferson Airplane(ジェファーソン・エアプレイン)の「Somebody to love」などサイケデリック・ロックなども加えてウッドストックに集まってたようなのは大抵ヒッピーアンセムと大雑把に解釈できます。

The Beatles – All You Need Is Love [1967]英

Jefferson Airplane – Somebody To Love (Live at Woodstock 1969)

The Who – My Generation [1965]英

音楽とファッションの総合的なサブカルチャー、モッズブームのアンセム、Mod Anthemと言えばこの曲です。まずは映画「Quadrophenia(さらば青春の光)」を観るところからスタートだ!

Queen – We Are The Champions [1977]英

一般的な視点から最も知られているロック・アンセムです。クイーンのもう一つのアンセム「We Will Rock You」も同様に扱われます。ただしロック自体が広すぎてアンセムを絞るには無理があるのでこれ以上は追及しません…

T. Rex – 20th Century Boy [1973]英

Glamour(グラマー)なファッションにバブルガムポップとハードロックを掛け合わせた Glam Rock(グラム・ロック)のアンセムです。ハリウッドやキャバレーのギラギラした衣装にセックスアピール、SF、神秘主義、退廃主義までごった煮となった耽美的なステージカルチャーです。グラムに始まったお化粧まみれのシニカルな道化ロックの流れはNew York Dolls(ニューヨーク・ドールズ)を介してパンクへと引き継がれ、The Cure(ザ・キュアー)等のニューウェイブバンドまで続きますが、日本ではいつの間にかビジュアル系として女性を惹きつけるためのメイクアップとして転用されます。

David Bowie – Suffragette City [1972]

Gary Glitter – Rock And Roll Part 1 [1972]

Mott The Hoople – All the Young Dudes [1972]

Sweet – The Ballroom Blitz(ロックン・ロールに恋狂い) [1973]

Slade – Cum On Feel The Noize [1973]

Sex Pistols – Anarchy In The UK [1977]英

言わずと知れたパンク・アンセムです。「God Save The Queen」でも構いませんがこちらの方がイントロだけで空気を変えてしまうアンセムらしい風格が。USパンクなら「Ramones – BLITZKRIEG BOP」あたりを挙げることでしょう。

The Velvet Underground – I’m waiting for the man [1967] Proto-punk

The Stooges – I Wanna Be Your Dog [1969] Proto-punk

MC5 – Kick out the jams [1969] Proto-punk

Ramones – Blitzkrieg Bop [1976] NY Punk

Television – Marquee Moon [1977]米 Post-Punk

The Damned – Love Song [1979] UK Punk

お馴染み大貫憲章「ロンドンナイト」の定番曲!
The Clash – Should I Stay or Should I Go [1982] UK Punk

Bee Gees – Stayin’ Alive [1977]米
Cheryl Lynn – Got To Be Real [1978]米

どちらも有名なディスコ・アンセムです。ただし映画『サタデーナイト・フィーバー』の主題歌であるビージーズの「スティン・アライブ」の方はダンスクラシック・アンセムかと言われるとそうはでない微妙なニュアンスの違いがあります(同じ理由でABBAやNolans等ポップス系はダンクラと呼びづらい空気があります)。残りは元ダンクラ番長の諸兄が100曲くらい挙げて解決してくれるはずです、Earth, Wind & Fireとか、Shalamarとか・・・止まらなくなりそう。

Gloria Gaynor – I Will Survive [1978]米

4つ打ち(Four On The Floor)のディスコビートを叩いているドラマーは前述の「Got To Be Real」と同じ、鼓聖 James Gadson(ジェームス・ギャドソン)。元々は女性の強さを歌い上げたフェミニスト・アンセムです。同時にゲイディスコ・アンセム、もしくはゲイ・アンセムでもあります。1997年オルタナバンドのCake(ケイク)によるカバーが有名。ゲイ・アンセムとしては他にもヴィレッジ・ピープルの「YMCA」やABBAの「ダンシング・クイーン」などがあります。過剰にセンチメンタルもしくは過剰にキャッチーであるという共通の特徴を持っています。ハウス時代に入ってからはUltra Nate(ウルトラ・ナテ)の「Free」などが代表曲です。

ドラッグ・クイーンからインスパイアされ、ビギーの大ヒット「Mo Money Mo Problems」でネタにされたナイル・ロジャース作品! 歌詞にゲイアンセムの属性があります。

Diana Ross – I’m Coming Out [1980]

Ultra Nate – Free [1997]

Judy Garland – Over The Rainbow [1947] : ゲイ・アイコンであった女優ジュディ・ガーランドの代表曲「虹の彼方に」は元祖ゲイ・アンセムとして知られ、このタイトルを元にLGBTの象徴レインボーフラッグがデザインされています。

Donna Summer – I Feel Love (Patrick Cowley Remix) [1982]米

ユーロビート/ハイエナジーがミュンヘン・ディスコと呼ばれていた時代、ジョルジオ・モロダーが手掛けたドナ・サマーの「I Feel Love」を天才Patrick Cowley(パトリック・カウリー)が迫りくる死と闘いながら長尺でリミックスしたハイエナジー・アンセムです(ゲイ・アンセムでもあります)。テクノの誕生を予感させる(というか既にテクノな)楽曲ですが、カウリー自身は1982年にHIVで亡くなっています。もちろんハイエナジー・アンセムは英国にトレンドが移ってからのPWL(ストック・エイトキン・ウォーターマン)関連曲を挙げても構いません。

Evelyn Thomas – High Energy [1984]

日本だけで異常に大ヒットしたユーロビート「マンドレイ」もオマケで!
Art Attack – Mandolay [1983]米 Synth-Pop/Disco

New Order – Blue Monday [1983]英
Joy Division – Love Will Tear Us Apart [1980]

多くのパンクミュージシャンを輩出したNYの伝説のロックバー「CBGB」においてTalking Headsらの活躍により始まったニューウェイヴ・ムーブメントの中でも、特に英国で発展したシンセポップの代表曲として挙げられるニューウェイヴ・アンセムにして音楽史上最も売れた12インチシングルでもあります。さらにその前身であるジョイ・ディヴィジョンの代表曲と合わせて。

パンクバンド Buzzcocks(バズコックス)のピート・シェリー制作、日本のクラブ/ディスコで異常にヒット、DJ達が12インチ盤を求めて奔走した「テレフォン・オペレーター」もオマケで。
Pete Shelley – Telephone Operator [1983]英 Synth-Pop

パンクは如何にして電子音楽を形作ったか | Resident Advisor

Punk, Post-Punk, No Wave, New Wave, Synth-Pop, House, Tehcno, Rave
How punk shaped electronic music | Resident Advisor

 

Marshall Jefferson – Move Your Body [1986]米

郵便局で働いていたマーシャル・ジェファーソンが生み出したシカゴハウス・アンセム。単純にハウスミュージック・アンセムと呼んでも構いません。ピアノ演奏が入っているために当初はハウスとみなされていなかったものの、ロン・ハーディ、フランキー・ナックルズの助力を得てシカゴハウスの大ヒットとなった曲です。

ハウス系クラブのみならず日本中のディスコでヒットしたシカゴハウス音頭「Can U Dance」もオマケで!
Kenny “Jammin” Jason & “Fast” Eddie Smith – Can U Dance [1987]米

Rhythm Is Rhythm – Strings Of Life [1987]

シカゴハウスに衝撃を受けたDerrick May(デリック・メイ)がMayday名義で制作したデトロイトテクノ・アンセム。単純にテクノ・アンセムと呼んでも構いません。MDMA(通称エクスタシー)を食べた客が感動の涙を流しながら踊り狂ったいわくつきの曲です。「テクノ」の名称は、Juan Atkins(ホアン・アトキンス)が当時ベストセラーとなった未来予測学者アルビン・トフラーの名著「The Third Wave(第三の波)」に登場する「Techno-Rebels」という造語から採ったものです。(※ それ以前のKraftwerkやYMOはテクノ・ポップに分類される。坂本龍一がテクノの言葉を考案した方が先だがこちらはテクノ・ポップに関連付けられた。)

A Guy Called Gerald – Voodoo Ray [1988]英

元808 StateのメンバーであるA Guy Called Gerald(ア・ガイ・コールド・ジェラルド)によるアシッドハウス・アンセムです。音楽史上初のアシッドハウス「Phuture – Acid Tracks [1985/1987]」も歴史的見地からはアンセムと言えますが曲のウケも加味されます。

Nirvana – Smells Like Teen Spirit [1991]米

異論を挟む余地のないグランジロック・アンセム。クタクタの古着スタイルなどファッションにも影響が及ぶのでグランジ・アンセムとしてもOK。ヘヴィメタル/ハードロックへのアンチとして誕生、Fuzzを効かせたノイジーかつLo-Fi(ローファイ)なサウンドで、UKインディー/パンクの影響を受けてメロディからもブルース/カントリー色が排除され、Show Biz的ギターソロも放棄してエレキギターの役割を完全に変えてしまいました。革命的な変化であるが故にグランジ以前(ハードロック)グランジ以降(オルタナ/インディー)で洋楽ロックファンの嗜好も大きく二分されます。BBC Radio 1で現在もなお頻繁にオンエアされるグランジ名作×2を追加!

Stone Temple Pilots – Interstate Love Song [1994]

Soundgarden – Black Hole Sun [1994]

グランジ・アンセム 40選

 

The Jimmy Castor Bunch – It’s Just Begun [1970]
The Winstons – Amen Brother [1969]
Lyn Collins – Think (Prod. by James Brown) [1972]
Incredible Bongo Band – Apache [1973]
Bob James – Take Me To The Mardi Gras [1975]

元々はジャマイカ移民のKool Herc(クール・ハーク)がキングストンの「サウンドシステム」にならいブロンクスの路上でBreak-Boy = B-Boy(ビー・ボーイ)と呼ばれるダンサー向けに野外ダンスホールを開いたのを起源とし、ラップ誕生以前はクラシック・ファンクを使ったブレイクビーツだった頃のオールドスクール・ヒップホップ・アンセムです。全てのダンスミュージックの中で生き続けるリズムトラック資産でもあります。

The Sugar Hill Gang – Rapper’s Delight [1979]

世界で最初にメジャー契約を交わしたラッパー、カーティス・ブロウの有名曲。

Kurtis Blow – The Breaks [1980]

1000曲以上の楽曲でサンプリングされたHumanbeatbox(ヒューマンビートボックス)の歴史的名作

Slick Rick & Doug E. Fresh – La Di Da Di [1985] Beatbox

Naughty By Nature ‎– Hip Hop Hooray [1992]
House of Pain – Jump Around [1992]
Beastie Boys – Sabotage [1994]
The Notorious B.I.G. – Big Poppa [1994]
Warren G – Regulate ft. Nate Dogg [1994]
Skee-Lo – I Wish [1995]
Dr. Dre ft. Snoop Dogg – Still D.R.E. [1999]
50 Cent – In Da Club [2002]
Dizzee Rascal – Fix Up, Look Sharp [2003]
Joe Budden – Pump It Up [2003]
JAY-Z – 99 Problems [2003]

ヒップホップ・アンセムは数多くありますが、まずは「ヒップホップ万歳」のタイトルどおり応援歌/賛歌の位置付けである「Hip Hop Hooray」を挙げておきます。加えて2019年現在のオンエア/プレイ頻度からみた鉄板ヒップホップ・クラシックを列挙!

依然としてロック系番組でも重宝され、ミクスチャーバンドからもコピーされ続けるビースティーズを割り込ませておきます!

 

Part 2 につづく

 

 

 

シェアありがとうございます

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • カテゴリー

  •  

  •  

    広告掲載のご依頼はこちら

     

    イベント情報








    チャート情報











    データベース







    情報サイト


























    レーベル・レコード会社






PAGE TOP ↑